「未経験から社内SEを目指したいけど、本当に受かるのか不安」「IT職の経験はあるけど社内SE業務はやったことがない、何から手をつければいいのか」――そんな気持ちでこの記事にたどり着いた人が多いんじゃないかと思います。
検索すると「未経験OKの求人を探そう」「資格を取っておこう」みたいなアドバイス記事はたくさん出てきますが、応募前の準備・求人の見方・面接での経験の語り方・入社直後の動き方まで地続きで書いた体験談はあまり見かけないんですよね。
私自身、1社目は設備施工系の大手の子会社で、太陽光発電の遠隔監視サービスの立ち上げに関わっていました。社内SEではなく、ネットワーク構築や社内体制構築といったプロジェクト寄りの仕事です。そこから8ヶ月のブランクを経て、製造業の中小企業(150人規模)に社内SEとして転職しました。社内SEの業務そのものは、その2社目に入った時点では未経験でした。
ちなみに、この転職活動をしていたのは2016年頃の話で、今からだと10年ほど前の体験になります。技術トレンドや採用マーケットは当時と現在で違う部分もあるので、この記事では当時の体験をそのまま並べるというより、現代でも応用が効く本質的なポイントに絞って書いていきます。
読み終わる頃には、応募〜入社直後までの動線が頭の中で繋がって、明日から手をつけられる準備が見えるようになっているはずです。
先に結論:未経験から社内SEに入るのに大事だった2つの軸
最初に結論からお伝えします。
私の場合、社内SE未経験から転職を成功させるのに効いたのは、次の2つでした。
- IT周辺の経験を「社内SEの文脈に翻訳して語れる」状態にしておくこと
- 大企業に絞らず、中小企業まで広く受ける覚悟を持つこと
逆に、これ以外の要素――保有資格の数、英語力、特定の言語スキル――は、私のときはそこまで効いた感触はありませんでした。
正直なところ、当時の私のスペックはそんなに強くありません。1社目はサービス立ち上げ系で社内SE業務は未経験、そのうえ8ヶ月のブランクありです。ただ、1社目に約3年在籍していたので、ギリギリ第二新卒枠(一般的には卒業後3年以内が目安)に滑り込めた点は大きかったと思います。それでも内定をいただけたのは、上の2軸を意識して動けていたからだと振り返って思います。
最初に断っておきますが、私が入った2社目は中小製造業の一例です。企業規模や業界によって社内SEの転職事情は変わるので、ここからの話はあくまで「中小企業の社内SEに未経験で入ったケース」として読んでもらえればと思います。
未経験で狙いやすい社内SE求人の見分け方
社内SEは大企業の人気求人だと、未経験での書類通過がかなり厳しくなります。私が当時応募していた頃の体感ですが、未経験者を採用する余裕があるのは、中小企業や中堅企業の情シスでした。
私が「ここなら受かるかもしれない」と感じた求人には、いくつか共通点があります。
- 中小企業や中堅企業の情シス
- 生産管理・販売管理など基幹系のシステムを社内で抱えている
- 情シスの人数が2〜3人以上ある(1人情シスだと未経験者の教育余力がない)
- ヘルプデスクやキッティング(PCの初期設定)を兼任することが許容されている
逆に、大手SIer出身者ばかりが応募してくるような求人や、特定技術スタック(クラウド・コンテナ・SREなど)を尖らせている求人は、未経験では正直厳しいです。スタートラインから勝てない勝負を選んでも消耗するだけなので、最初は射程圏内の会社を広く見るのがおすすめです。
私の場合、エージェント経由で10社くらい応募しました。10年ほど前のことで記憶も曖昧ですが、そこまで大量に応募した記憶はなく、エージェントが絞ってくれた中から自分の経験と接続できそうな会社を選んでいった、という流れです。並行して内定が出ていた会社はなく、最終的に1社の内定を承諾しました。
選んだ判断軸は、こんな感じでした。
- 受託開発と比べると業務量がそこまで多くなさそうなイメージがあった
- 1社目で経験したネットワーク構築の知識が活かせそうだった
- 趣味の自作PCで触ってきたハードウェアやOSの知識が役立ちそうだった
- ブランク中に挑戦したアフィリエイトでWeb関連の知識が多少あった
この「自分の経験や知識が業務にどう繋がるかをイメージできる会社」を選べたことが、応募する側の納得感としても、面接で話す内容としても、効きました。
ちなみに「未経験OK」と求人票に書いてあっても、教育体制があって育ててくれるタイプと、何でも屋として実戦で覚えてもらう前提のタイプがあります。求人票の「教育制度」「研修期間」の記述や、面接で「最初の半年でどんな業務を任せる予定ですか」と直接聞いてみると見分けがつきやすいです。
入社後のギャップは別の角度で「現役社内SEが語る『後悔した5つのギャップ』」にまとめているので、求人選びの段階で踏み込んで聞いておきたい観点が知りたい方はあわせて読んでもらえればと思います。
応募前にやっておくと役立つ準備|学習・資格・職務外の活動
未経験でも面接で話せる材料を作っておくと、内定率はそれなりに変わります。私の体感だと、IT資格そのものより、職務外でIT寄りに動いていた経験のほうが効きました。
学習面
正直に言うと、当時の私は基本情報技術者レベルのIT基礎知識もSQLの知識も、業務システムの知識もほぼゼロでした。前職で身につけたネットワークの基礎知識と、趣味の自作PCで触ってきたハードウェアの基礎知識しか持っていません。それでも内定をいただけたので、知識を網羅していなくても通る場合はあります。
とはいえ、もちろん知っておくに越したことはありません。あれば面接で話せる引き出しが増えます。優先度が高いのはこのあたりです。
- 基本情報技術者レベルのIT基礎(用語が読めるレベルで十分)
- SQLの基本(業務システムのデータを扱ううえで必須)
- 業務システム(販売・在庫・会計)のざっくりした流れ
業務システムの流れは、本屋で「販売管理システム入門」のような本を1冊読んでおくだけでも、面接で話す引き出しが増えます。
資格について
資格は必須ではありませんが、「学ぶ姿勢の証明」になる場面はあります。私の場合は第二種電気工事士と工事担任者DD第一種を持っていましたが、これらは社内SE職に直結する資格ではないので、面接で具体的に評価されたかは正直分かりません。あくまで「学習計画を立てて合格まで持っていけた人」という印象は残せたかも、という程度の手応えでした。
未経験から狙うなら、現実的なのは基本情報技術者やITパスポートあたりです。資格自体が決め手になるというより、面接で「自走できる人かどうか」を判断する補助材料として使われる、というイメージで持っておくといいと思います。
職務外のIT寄りの活動
私が振り返って一番効いたかなと感じているのは、これです。
私の場合、もともと自作PCが趣味で、自分のPCは自分で組んできました。ハードウェア構成・OSのインストール・トラブル時の切り分けなどを、仕事以前にプライベートで何度も触っていたわけです。社内SEは新人のうちにヘルプデスクやキッティングから任されることが多いので、「私物のPCで普通にやっています」と言えるだけで、入社後の立ち上がりが想像しやすくなります。
ブランク中にアフィリエイトに挑戦していた話も、結果的にWeb・サーバー・WordPressあたりの基本知識として面接でプラスに働きました。アフィリエイトで実際に売上を立てた話は次のセクションで詳しく書きますが、職務外でWebに触れていた経験そのものが、未経験面接では立派なアピール素材になり得ます!
完全未経験の方なら、たとえば次のような動き方でも材料になります。
- 自分のPCを自分で組み立ててみる
- 家族や知人のPCトラブル対応を引き受ける
- 生成AI(ChatGPT・Claudeなど)を仕事や学習に使い倒してみる
- WordPressで自分のブログを立ち上げてみる
どれも面接で「興味があって自分で動いた経験」として語れる素材になります!
私の場合の転職体験|サービス立ち上げ系→8ヶ月ブランク→中小製造業の社内SE
ここで実際に私がたどったルートを書いておきます。あなたが似たような経歴なら、そのまま参考になるはずです。
私の1社目は、設備施工系の大手の子会社でした。担当していたのは、太陽光発電の遠隔監視サービスを立ち上げるプロジェクトです。具体的にやっていた業務はだいたいこんな感じでした。
- 通信事業者の選定と技術検証
- 拠点間のVPN(暗号化された専用通信路)構築
- 全国の支社・支店向けにサービス概要を説明する社内体制づくり
- 通信回線の手配と機材設定
- プロジェクト全体の進捗管理
社内SE業務というよりは、新規サービスの立ち上げ・プロジェクトマネジメントに近い仕事でした。社内SEの典型業務である「日々の問い合わせ対応」「キッティング」「基幹システムの運用」みたいな経験は、ここでは積んでいません。
ただ、ここで積んだ経験は、社内SE職の文脈に「翻訳」できる部分が多くありました。
| 1社目で経験したこと | 社内SE文脈への翻訳 |
|---|---|
| VPN構築 | 拠点間ネットワーク・社内ネットワーク経験として |
| 通信費の削減(月額ベースで大きく圧縮) | 運用コスト改善の数値実績として |
| 支社支店向けの説明会 | ITに詳しくないユーザーへの説明スキルとして |
| 進捗管理・社内体制構築 | ベンダー対応や社内調整の素地として |
| 機材設定・回線手配 | キッティングやヘルプデスクの素地として |
この「翻訳」が面接で機能したと感じています。「社内SEの経験はないけど、社内SEで使う筋肉は別の文脈で動かしてきた」という語り方ができたわけです。特に評価された手応えがあったのは、自分で調べながらネットワークを構築した経験と、サービス概要をまとめて全国の支店支社に説明した経験でした。これは私の推測ですが、社内SEでも調べながら問題を解決する場面と、ITに詳しくないユーザーに説明する場面は日常的にあるので、そこと接続できたのかなと思っています。
ここから1社目を退職して、8ヶ月のブランクに入ります。
ブランクは不利だったか|アフィリエイトで実績を作って面接で堂々と語った話
ブランクが転職活動で不利になるのか、これは転職や再就職を考える人にとって気になるところだと思います。
私の場合、ブランクが原因で書類選考で落とされたケースはあったかもしれません。ただ、面接まで進めた会社では「ブランク中に何をしていたか」を素直に語ったことが、結果的にプラスに働いたんじゃないかと思っています。
私が8ヶ月のブランク中にやっていたのは、アフィリエイト(Webサイトに広告を貼って収益を得る仕組み)への挑戦でした。たまたま狙ったジャンルがうまく当たって、ブランク期間を通して約20万円ほどの売上を立てることができました。事業として立派かと言われるとそんなに大きい数字ではありませんが、「自分で何かを立ち上げて、お金が動くところまで持っていけた」という事実は残ります。
面接でブランクのことを聞かれたとき、私はこの話を素直にしました。聞かれ方は圧迫っぽいものではなく、ごく普通の確認質問でした。話した内容はだいたいこんな感じです。
- 1社目を退職してから、アフィリエイトに挑戦していた
- Webサイトを作って運用し、結果として20万円ほどの売上を立てた
- 自分で調べて手を動かして形にする経験ができたので、ブランクとしては悔いはない
この話で意識していたのは、「ブランク中も止まっていなかった」「自分で動いて結果を出した」という2点が伝わるように話す、ということでした。
このときの経験から、ブランクの語り方として汎用的に使える型があります。
- ブランクの理由を素直に短く話す(隠さない、長く言い訳しない)
- ブランク中に続けていた学習や活動があれば1点だけ添える(数字や成果物があるとなお良い)
- 「だから今こう動いている/このスキルを活かしたい」で締める
私のケースだと、アフィリエイトでの売上=数字の成果が話を引き締めてくれましたが、必ずしも金銭的成果がなくてもいいです。「資格を1つ取りました」「ブログを立ち上げて〇〇本記事を書きました」「学習を継続して〇〇まで終えました」など、続けていたことが具体的に見えれば、印象は十分変わります。
面接前に1度、自分なりのブランク説明を文章で書き出して、声に出して練習しておくのがおすすめです。本番で言葉に詰まると、それだけで「やましいことがあるのかな」という印象を与えやすくなります。
入社直後にやっておくと良いこと
転職活動が終わって内定をもらうと、ホッとしてそこから先のイメージが薄くなりがちです。でも、未経験者にとっては入社直後の動き方こそ、その後の評価を大きく左右します。
私が2社目の社内SEとして入社した直後に実際にやっていたのは、こんな仕事でした。
IT資産の整理
最初に任された業務の1つが、社内のIT資産整理でした。社内に何台のPCがあって、誰に貸与されていて、購入時期はいつで、保守期限はどうなっているか。こういった情報を調べて、資産情報を整備する作業です。
地味な業務に見えますが、これをやると会社のIT環境の全体像が一気に頭に入ります。「この部署にはこの世代のPCがあるんだな」「この古い機種はそろそろ入れ替えだな」と肌感覚が育っていくので、その後のヘルプデスク対応や入れ替え計画の判断がやりやすくなります。
未経験で入った直後にこれを任されるのは、実はかなり恵まれた状況でした。社内のIT環境を強制的に1周できるからです。
Excel講習の企画
もう1つやっていたのが、社内向けのExcel講習でした。アンケートで「Excelで何が分からないか」「どんな機能を覚えたいか」を募集して、その内容を元に研修資料を作って、実際に講習を実施する、という一連の流れです。
これは新人の社内SEとしてかなりおいしい仕事でした!
- 業務部門の人と直接やり取りするので、誰がどの部門のキーマンかが自然に分かる
- 「ITに詳しい人」というポジションが社内に早めに浸透する
- 自分自身のExcel知識も体系的に整理される
- 研修を受けてもらうことで、その後の問い合わせを減らせる
未経験者が入社直後の数ヶ月で目指したいのは、自分の顔を社内に覚えてもらうことと、誰がどの部門で何を担当しているかを自分の側でも把握することの両方です。Excel講習はそのきっかけ作りとしてかなり効率がいい仕事だなと、後から振り返って思います。
一般化すると
私の場合は資産整理とExcel講習でしたが、未経験者の最初の数ヶ月でやっておきたいことは、整理すると次のようなことになります。
- 社内のIT環境(PC・サーバー・ネットワーク・基幹システム)を1周する仕事を引き受ける
- 業務部門の人と直接やり取りする仕事を1つ持つ
- 既存ドキュメントや運用手順がどこにあるかの場所を把握する
- ベンダー一覧と契約形態を把握する
最初に任される業務は会社によって違いますが、上のうちどれかに繋がる仕事は必ずあるはずです。「言われたタスクを終わらせるだけ」ではなく、「これをやることで社内をどれだけ知れるか」という視点を持っておくと、最初の数ヶ月の質がだいぶ変わります。
まとめ|未経験でも、翻訳と覚悟と素直さで道は開ける
未経験から社内SEへの転職で効いたポイントを、最後にもう一度整理します。
- IT周辺経験を社内SE文脈に翻訳して語れる状態にする
- 大企業に絞らず、中小企業まで広く射程に入れて応募する
- 資格より、職務外のIT寄り活動(自作PC・アフィリ・生成AI活用・ブログ運営など)の方が面接で効くことが多い
- ブランクは隠さず素直に話す。「止まっていなかった」が伝わる材料を1つ持っておく
- 入社直後は「社内を1周できる仕事」を引き受けて、ITの相談先として認知される動きを作る
社内SE未経験での転職は、特別なスキルや学歴がなくても、ちゃんと準備すれば届く範囲にあります。私自身、IT周辺経験+8ヶ月ブランクという決して有利でない状態から入れました!
転職してみて、自分が社内SEに向いているかどうか不安な方は、適性ミスマッチの観点で書いた「本気で『社内SEやめとけ』と言える5タイプ」で事前判断のチェックを、入社後のギャップが気になる方は「現役社内SEが語る『後悔した5つのギャップ』」と「社内SEは本当に『楽すぎ』なのか」もあわせて読んでみてください。1日の流れがイメージしづらい方は「社内SEの1日のスケジュール」が参考になるはずです。
社内SEの仕事内容の全体像は、別記事にまとめています。



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